うつになったらどうなるの?
うつ病の初期症状は人それぞれです。
いきなり希死念慮(死にたい願望)が出る人もいれば、無気力になる人もいます。
なんとなく眠れない日々が続くだけの人、なんとなく食欲のない日々が続くだけの人。
私の場合は、「楽しかったはずのことが楽しめなくなった」でした。
そしてやけに眠たくなりました。
次の段階として、おちつかない、そわそわする。
神経が過敏になって、あらゆることにびくびくするようになりました。
外に出ることが怖くなり、ひきこもります。
お風呂に入るのも億劫で、ひどいときは5日に一回入るか入らないかという時期もありました。どんどん体力が落ちます。
落ちるのは体力だけでなく、集中力、記憶力も落ちます。
昔はハードカバーの活字本を一日三冊は読んでいた私も、漫画一冊すら読むのがつらくてできない時期がいまも時々あります。
病院でお薬をもらって、「これで安心✩」と思いきや、精神系の薬はめちゃくちゃ眠くなります。
うつは脳が間違った方向に一生懸命働いてしまっている状態なので、これを遮断するためには寝るのが一番なのです。
そして脳が誤作動を起こしているので、「喜怒哀楽」の割合が変わります。
基本的に「喜」と「楽」はなくなります。
とてもつらい時期で、この時期の人は希死念慮が強いです。できるだけひとりにしないでください。刃物も周囲から無くしましょう。リストカットで死ぬ確立は低いですが、縫ったりしなければならない事態になるかもしれないし、なにより跡が何年も残ります。うつ病になったのが女性なら特に気をつけてあげてください。
食べないと体重はガンガン減って危険です。カロリーメイトでもなんでもいいので、患者さんの部屋に常備してあげましょう。うつのときは人のぬくもりを感じる手料理を嫌う傾向があります。お母さんのありがたいご飯に手をつけず何日もそんな日々が続くと、お母さんのほうがストレスを感じるようになります。二次被害ですね。
お風呂にも入らないし、身なりに気を使わなくなるので、当然外にも出なくなります。
無理やり外に出そうとするのは逆効果です。苦しみと闘っているのを邪魔しないでください。
「昔のあの子に戻って欲しい」
親御さんならそう感じるでしょうが、もしかしたらその姿だって、お子さんが無理に元気に見せていただけかもしれないのです。本当のことは、本当の苦しみは、本人にしかわからないのです。
「なにがあったの?」「どうしてそうなっちゃったの?」なんて訊いても追い詰めるだけです。本人も自分の中に渦巻く負の感情と闘っているのです。邪魔しないで。
落ち着いたら家族に話すでしょう。そのときも怒ったり泣いたりせず、じっと話を聞きましょう。
私の場合、自分の口から伝えるのが辛かったので、二階の自室から一階にいる父に携帯メールで一方的に「たぶんこの辺がきっかけ」と送りました。
うつ病になった本人だけでなく、ご家族もつらい日々が始まります。
うつ病は最近ではメジャーな病気です。
「甘えてるだけ」なんて考えは古いです。
きちんと勉強して、患者さんに何が起きているのか、どう対処すればいいのかを学ばなければなりません。
うつ病はひとりでは治せません。
周囲の人の協力と本人の頑張りがあって、やっと回復の糸口が見つかります。お薬やお医者さんはその頑張りのお手伝いをしてくれるだけなのです。
でも私の経験から見て、「わがままな人」「不真面目な人」「我が強い人」はあまりうつにならないようです。
「真面目」「責任感が強い」「周囲に気を使える」人がキャパオーバーしたときにうつ病になるのではないでしょうか?
がんばりすぎはなにごともよくないです。
だからうつ病もがんばって治そうとしないで。
うつ病になっても、私は私。
新しい私を始めるチャンスだと思いませんか?
いままで気づき上げたものを壊すのは勇気がいるけれど、その先になにがあるのかわからないけれど。
自分も知らなかった自分が見えるかもしれませんよ。