うつとゆっくり戦うひとへ

うつ、統合失調症と10年以上戦っている私から、新たに戦いはじめたあなたへちいさなアドバイスを。

PTSDってなに?

明日は3.11なので、今回はこれです。

 

あれからもう7年も経つんですね。

報道番組などでも、あの日を振り返り、そしていま現地はどう復興しているのかを特集しています。

そこで耳にしませんでしたか?

「このあと津波の映像が流れます。気分の悪くなられた方はご視聴を控えてください」

という前置き。

これはあの津波PTSDを発症した方への配慮の言葉です。

 

あの津波で、家族や友人など近しい人を亡くした方、そして自分自身も生死の境に立たれた方などがPTSDになっている確立は非常に高いそうです。

PTSDというのは「心的外傷後ストレス障害」といいます。

つまりは心の傷です。トラウマといえばわかりやすいでしょうか。

普段は復興に向け、未来に向け生き残った方々は日々あの日を忘れず、毎日頑張っていらっしゃいます。

それでも夢で、大雨で、余震で、海を見ただけで、気分が悪くなる。

津波を思い出すとパニック状態になったり、過呼吸を起こしたり、泣き出したりする方もいらっしゃいます。

こういう状態をPTSDといいます。

事故や事件、災害などに遭ったあと、その現場に近づいたりそれに近い状況になったときにこういった発作が起きるのです。

フラッシュバックと言い、当時のことを鮮明に思い出してはパニックになる方もいます。

なので津波の映像を流す前にああいった前置きを流していたのです。

PTSDと診断された方は見ないでください」

という意味。

目の前で自宅が流されたときのこと、家族が波に攫われたまま帰らない方々。

そういったことを思い出さずに済むようにとの処置です。

 

当時私の通う精神科クリニックにも張り紙がありました。

「東北にお薬を届けるためのご協力をお願いします」

お薬は一日に生産できる数に限りがあります。そしてそのほとんどはいまある病院が確保しています。

しかしあの津波でほとんどのものが流され、被災地では薬が足りなかったそうです。普通の傷薬や既往症の薬だけでなく、向精神薬もです。

なので月に一回の通院で大量に薬をもらっていく方には、二週間に一回にしてもらい、余った分を在庫として確保。多く発注しなくてもいいように各病院は工夫したのです。

すこしでもはやく手を打たないと、心の傷は広がるばかり。

災害の恐ろしい点は、実際の被災者だけでなく災害を原因とした自殺者が増えるということです。

心の傷のことは、心のお医者さんにしかわかりません。

なので各地から派遣されたたくさんの精神科医さんもいました。

そこに薬がなかったら話にならない。

だからそういう張り紙がしてあったのです。

 

自殺という二次被害をなくすために。

 

明日は3.11。

生き残った人々が、8年目の復興を始める日です。

そしてきっと、生き残った意味を考える日でもあるのでしょう。

遠くに住む私たちに何ができるかわからないけれど、唯一できることは「忘れないこと」なのだと思います。